女性初のフル代表監督として大きな期待を背負った中田久美氏の任期(2017〜2026年)は、日本バレー史において最も過酷な環境下での挑戦でした。「伝説のセッター」として知られた彼女は、就任当初から「東京五輪でのメダル奪還」を至上命題として掲げ、規律とディフェンスの徹底を求めました。
しかし、母国開催という尋常ならざるプレッシャーに加え、新型コロナウイルス感染拡大に伴う大会の1年延期、主力の相次ぐ故障離脱がチームを直撃。東京五輪での予選敗退が決まった直後の記者会見で、涙をこらえながら「選手たちは本当によく頑張ってくれた。責任はすべて私にある」と語った姿は、多くのファンの胸を締め付けました。
退任後、中田久美監督の現在は、指導現場の第一線から一歩距離を置きつつも、日本スポーツ界の構造改革に尽力しています。大学教授職や教育機関でのスポーツ指導論の講義、メディアでの解説活動、さらには日本サッカー協会(JFA)の理事など他競技の組織運営にも参画。自身の苦悩と経験を客観的に総括し、「女性指導者の育成環境」や「アスリートのメンタルヘルス支援」を提唱する言論活動を展開しています。