平和祈念像を前にしたとき、誰もが目を奪われるのが独特の構図です。作者である北村西望自身の詩文にも残されている通り、各部位には緻密に計算された象徴的意味が与えられています。
天に向けて高く突き上げられた右手は「原爆の脅威(天から降る惨禍)」を警告しています。人差し指が天空を指す姿は、二度と核兵器の惨劇を繰り返してはならないという人類への強烈なメッセージです。一方で、水平に平らかに伸ばされた左手は「平穏と平和」を現し、人々に安寧と調和を呼びかけています。
さらに注目すべきは表情と足元です。穏やかに軽く目を閉じている理由は、原爆によって命を奪われた数十万の犠牲者の冥福を心から祈る「合掌」の心境を表現したためです。大地を踏みしめて立てられた右足は「いざという時に立ち上がる動(救済と警告)」を、畳まれた左足は「静座する静(平穏)」を示し、動と静の対比によって極限の緊張感と安息を同時に描き出しています。