2018年平昌オリンピックの閉幕後、世界が目にしたのは「白象(負の遺産)」と化した競技施設の惨状だった。開閉会式のためだけに建設された仮設スタジアムは、わずか数回の使用後に解体作業へと追い込まれた。数千億円規模の国家予算が投入されたものの、滑降競技が行われたゲレンデの森林復元プロジェクトは一向に進まず、環境破壊の傷痕を残したままだ。
さらに深刻なのは、屋内に作られたアイスリンクや滑走競技の専用コースである。年間数億円に上る維持管理費を払い続ける体力は、地方自治体には存在しない。利用客の目途が立たないまま氷を張り続けるわけにもいかず、施設は休業状態に追い込まれた。「無理」と評された背景には、招致時のバラ色の収支計画と、現実の運用コストとの間に横たわる圧倒的な乖離が存在していたのだ。