物語を牽引したのは夏向だけではない。桐谷美玲が演じた櫻井美咲の、泥臭くも愛嬌あふれる等身大の奮闘があったからこそ、視聴者はこれほどまでに感情移入できたのだ。恋も仕事も全力で空回りしながら、パティシエとしての誇りを失わない彼女の姿は、観る者に爽快な勇気を与えた。
そこに加わるのが、包容力と大人の色気を漂わせる長男・千秋役の三浦翔平と、天真爛漫でどこか危うい三男・冬真役の野村周平だ。対照的な魅力を持つ兄弟たちの絶妙な距離感と丁々発止のやり取りは、物語に奥行きと心地よいテンポをもたらした。後に桐谷と三浦が現実世界で夫婦となったことも含め、この作品が放っていた現場の温かな空気感は、フィクションを超えた奇跡的なリアリティを帯びている。