ペッパーくんの恐怖を語る上で欠かせないのが、2018年頃から話題になった「ペッパーくんの墓場」と呼ばれる画像や動画の流布です。薄暗い巨大倉庫のなかに、首をうなだれ電源を切られた何百体ものペッパーくんが整然と並べられている光景は、ディストピアSFのような異様さを放っていました。
この現象の背景にあったのは、2015年に開始された法人向けレンタルプラン「Pepper for Biz」の3年契約満了です。初期の物珍しさが一段落し、店頭での接客業務において費用対効果に見合わないと判断した多くの企業が契約を更新せず、2018年秋から2019年にかけて大量の機体がソフトバンクロボティクスへと一斉に返却されました。
ネット上では「用済みになって一斉廃棄された」と残酷な結末のように拡散されましたが、実際には産業廃棄物としてただ捨てられたわけではありません。返却された機体は点検とパーツの交換、清掃を受け、再整備されたリフレッシュ品として教育機関やプログラミング教材、介護施設などへの低価格再配置ルートへと回されていきました。