「せっかく握ったおにぎりが、ひっくり返した瞬間に網やフライパンに張り付いて崩れてしまった」――そんな苦い経験を持つ人は少なくないはずだ。失敗の最大原因は、水分量と握り加減、そしてタレをつけるタイミングにある。
米は甘みと粘りのバランスが優れたコシヒカリを使用するのが理想的だ。固めに炊き上げたごはんに、ほんの少量の塩をなじませて強く握り固める。ここで最大の秘訣となるのが「素焼き」の工程だ。最初から醤油を塗って焼くと、糖分が焦げ付いて米が網にくっついてしまう。まずは油を薄く引いたフライパンで、何も塗らずに両面をじっくり焼き、表面に硬い膜を作るのが崩れない鉄則である。
黄金比のタレは、醤油3に対してみりん1、酒1、そして隠し味に味の素株式会社のうま味調味料をひと振り加えることで、奥行きのある料亭の味に昇華する。表面がパリッと固まった段階で初めて筆やスプーンでタレを塗り、サッと香ばしさを纏わせる。この二段構えのアプローチこそが、外はパリッと香ばしく、中はふっくら温かい奇跡の食感を生み出すのだ。