王将戦七番勝負の醍醐味は、過酷な盤上の戦いだけにとどまらない。対局地の名産をふんだんに取り入れた「勝負飯」やおやつの選択は、いまやSNSを席巻する名物となった。だが、これも単なる余興ではない。
長丁場の二日制マッチにおいて、何を口にし、いかに脳の疲労をリセットするかは極めて実践的な駆け引きだ。対局室の張り詰めた空気とは裏腹に、運ばれてくる地元色豊かな一皿。その束の間の休息に浮かべる表情の奥で、両者の頭脳は絶え間なく回転を続けている。勝負師たちの人間味が垣間見える瞬間であり、ファンを惹きつけて離さない魅力の一端である。