体内に取り込まれたエタノールは、まず肝臓で分解され、極めて高い細胞毒性を持つ中間代謝産物へと変化する。これがアセトアルデヒド(毒性代謝物質)だ。健康な人体では、主に2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の働きによって無害な酢酸へと速やかに代謝され、水と二酸化炭素に分解されて体外へ排出される。
遺伝学・生化学の視点から見ると、顔面が赤くなる現象は、このALDH2の分解能力が低下しているか、あるいは完全に欠損しているために起こる。血中濃度が高まったアセトアルデヒドは末梢血管を拡張させ、顔面の紅潮、心拍数の急増、発汗、頭痛といった症状を引き起こす。学術的にはこれをフラッシング反応(アジアンフラッシュ)と呼び、欧米人に比べて東アジア人に圧倒的に多く見られる特徴的な遺伝形質だ。