堤幸彦監督が手がけたヒット作『イニシエーション・ラブ』では、80年代後半のバブル期を背景に、一見すると可憐でありながらどこか影と魔性を秘めたヒロイン・マユを見事に演じきった。観客を欺く巧妙な構造のストーリーの裏で、彼女の持つ独特の甘い艶っぽさが作品全体を妖しく彩っている。
男たちを翻弄する視線、相手の欲望を受け止めながらも冷徹さを覗かせる多面的な演技。単に可愛いだけではない「男を狂わせる女性」の繊細なグラデーションを表現し、作品のラストに訪れる大どんでん返しを支える見事な説得力を構築した。この作品によって、彼女は観客の心理を惑わす官能的な表現力を完全に手に入れたと言える。