つげ作品の持つ独創的な世界観は、映画界のトップクリエイターたちをも魅了し続けてきた。中でも映画監督・俳優の竹中直人が手がけた映画『無能の人』は、原作の持つ静謐さと哀愁を完璧に映像へ昇華させた名作として知られる。
また、山下敦弘監督による『リアリズムの宿』など、旅情と脱力感が同居する独特の味わいは、映画人の創作意欲を刺激してやまない。登場人物たちの間合い、独特のセリフ回し、画面の余白が映画というメディアと奇跡的な親和性を見せるのだ。
近年では、これらの映像作品がU-NEXTなどの大手動画配信サービスを通じて手軽に視聴可能となった。映画を入口として原作漫画へ遡る若者が絶えない現状は、出版・漫画業界にとっても作品の寿命を延ばす理想的なサイクルとなっている。