浴場エリアへ足を踏み入れると、まず視界に飛び込んでくるのは深さのあるバーデプールだ。浮き輪をつけてパシャパシャと水を蹴る幼児のすぐ隣で、腰痛改善の水中ウォーキングに励む老人がすれ違う。一般的な温浴施設ならゾーニングで厳しく区切られるはずの光景が、ここでは曖昧なまま共存している。
特筆すべきはサウナ室のコンディションだ。最近の流行である派手なアウフグースや薄暗いヒーリング空間とは無縁。テレビから流れるワイドショーの音声を背に、しっかりとした熱気が肌を刺す。汗を流した後に飛び込む水風呂の温度は、冷たすぎずぬるすぎず、井戸水の柔らかさが肌に馴染む。洒落たサウナハットを被った若者と、タオル一本を頭に載せた地元漁師風の男性が、同じベンチで黙って外気を感じている風景は、どこか痛快ですらある。