寝覚の床を特徴づけるのは、まるで巨人が切り分けたかのような四角い岩の造形美です。地質学的には花崗岩の方状節理(ほうじょうせつり)と呼ばれる割れ目に沿って、木曽川の激流が数万年もの歳月をかけて浸食し、現在の奇岩群を形成しました。
実は、現在見られる迫力ある岩肌の露出には、近代の産業発展が深く関わっています。大正時代、木曽川水系の電源開発が進み、上流に読書(よみかき)ダムなどの発電用水力施設が建設されました。これにより木曽川の水位が大幅に低下した影響で、かつては水面下に沈んでいた白い奇岩群が水上に姿を現し、現在のような壮大な景観が誕生したという背景があります。
急流に洗われて丸みを帯びた岩肌と、ダムによって穏やかになった深いエメラルドグリーンの水鏡のコントラストは、自然の営みと歴史の変遷が偶然生み出した唯一無二の絶景です。