近代日本の文壇を彩ったスターたちの素顔は、ドラマ以上にドラマチックだ。たとえば太宰治は、銀座のバーでほほに手を当てたアンニュイな写真が有名だが、実際の私生活では周囲の気を惹こうと必死になる寂しがり屋だった。女性問題や借金に追われながらも、友人宛の手紙には甘えとユーモアが同居し、その情けないほどの素直さが現代のファンを魅了してやまない。
一方、流し目の知的でクールな佇まいが印象的な芥川龍之介は、極度の神経質でありながら、大の甘党で風呂嫌いという意外な一面を持っていた。友人の夏目漱石を深く敬愛し、作品の評価に一喜一憂するナイーブな姿は、洗練された短編小説のイメージとの対比で魅力を増す。
さらに、徹底した肉体改造と肉体美で知られる三島由紀夫の私生活も極めて個性的だ。文士劇で主役を演じ、完璧なスーツを着こなし、映画出演まで果たした彼のセルフプロデュース力は、現代のインフルエンサーにも通じる。自らの美学を極限まで追求した波乱万丈の半生は、いまなお多くの人々を魅了し続けている。