イタリア本国にも「Spaghetti alla Disperata(絶望のスパゲッティ)」と呼ばれる料理は存在する。しかし、日本のそれとは完全に別物と言っていい。本場のものは、オリーブオイル、唐辛子、アンチョビ、パセリなどを和えた比較的シンプルなオイルベースの和え麺だ。
対して、日本の東京スタイルは「スープパスタ」としての進化を遂げた。トマトペーストをベースに、大量の叩きニンニク、黒オリーブのタップナード、自家製ラー油、生クリーム、そして山盛りの粉チーズが渾然一体となる。イタリアの伝統に対する日本独自の「旨味の重層化」が生んだ、唯一無二のハイブリッド文化なのだ。