「なぜ名誉だけでなく、階級を二つも上げる必要があるのか」という疑問に対し、公務員給与体系の実情を知る者は即座に「遺族の生活保障」と答える。ここに、あまり表立って語られない特進の核心がある。
公務員の死亡退職金、遺族補償年金、公務災害補償金の算出基準は、すべて「死亡時の階級と俸給月額」に直結している。2026年の現行給与・年金制度においても、この基本構造に揺らぎはない。例えば、30代前半の警部補が現場で倒れた場合、警部補の俸給基準で計算される遺族年金と、二階級特進によって「警視」として算定される給付額の間には、生涯受取額で数千万円単位の格差が生じる。
残された配偶者の生活費、子どもの教育資金、住宅ローンの清算。命を失った本人がもう二度と家族を養えない以上、国家ができる最大限の経済的防衛策が「階級の引き上げによる給付水準の底上げ」なのだ。名誉の授与という精神的側面以上に、二階級特進は冷徹な生活保障のセーフティネットとして機能している。