電話では削ぎ落とされてしまうこの「4.5kHz超」の超高音域こそが、実は人間の心身に劇的なリラックス効果をもたらす鍵であることが、近年の先端研究で判明している。音響工学の観点から鈴虫の発声メカニズムを精密測定した最新データによると、その音色には周波数成分の微細な揺らぎ、いわゆる「1/fゆらぎ」が多分に含まれていることが実証された。
人間の脳がこの高い周波数と揺らぎを持つ音波を受信すると、自律神経のバランスをとる副交感神経が優位に働き始める。実験において被験者に生の鈴虫の声を聴かせたところ、リラックス状態を示すα波(アルファ波)の発生頻度が有意に上昇し、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量が低下する現象が観察された。都市の喧騒やデジタルデバイスから発せられる人工音とは一線を画す自然音ならではのバイオフィリア効果が、細胞レベルで身体を癒やしているのだ。
科学の進化によって、単なる「風情」として片付けられていた聴覚体験が、脳波や自律神経系を自律的に調整する精密な生理作用であることが明確に証明されつつある。