白黒の丸っこい体躯で笹を美味そうに頬張る姿。動物園のスターとして不動の地位を築くパンダだが、中国語圏での正式な漢字表記は「大熊猫」だ。熊なのか、それとも猫なのか。この命名の背景には、西洋の動物学者が初めてこの生物に出会った19世紀後半の分類学上の試行錯誤が存在する。
1869年、フランスの博物学者アルマン・ダヴィドが西洋社会へ初めてパンダの存在を紹介した際、学名には「Ailuropoda melanoleuca(黒白のネコ足をもつ動物)」と名付けられた。顔つきや目元の特徴、特に瞳孔が縦長になるあたりがどこかネコを思わせ、体格そのものは紛れもなくクマだったからだ。中国ではこの学名や特徴を訳す過程で、「ネコのようなクマ」あるいは「クマのようなネコ」として漢字が割り振られることになった。