この秘密組織の成り立ちは、1970年代後半の金正日時代にまで遡る。当時は指導者の歓心を買うための「歌舞組」「満足組」「幸福組」といった明確な役割分担が確立され、全国から集められた美女たちが指導者の深夜の宴席を彩っていた。藤本健二氏がかつて暴露したように、豪華な別荘で開かれる宴は連日連夜に及び、西側の高級酒や最高級食材が湯水のように消費されていた。
一方、スイス留学経験を持つ金正恩が最高指導者に就任すると、その様相は一変した。父の代から仕えていた古参メンバーを大規模に退役・刷新し、より若く、現代的な感性を取り入れた再編を断行した。欧米のポップカルチャーを取り入れた洗練されたステージ演出や、現代的なルックスを好む新指導者の意向が色濃く反映されるようになった。
しかし、体制が変わろうとも本質的な人権の蹂躙と絶対服従の構図は何一つ変わっていない。むしろ金正恩体制下では情報統制が一段と強化され、内部情報の漏洩に対しては極刑をもって臨む冷酷さが際立っている。