下処理において最も繊細な技術を要するのが、もつの脂の残し方と火加減のコントロールです。下処理を完璧に終えても、本調理で失敗しては意味がありません。もつ鍋をぷりぷりに仕上げるコツは、「下茹で」と「本鍋調理」の両局面における徹底した温度管理に集約されます。
下茹でを行う際は、必ず「大量の沸騰したお湯」を用意します。湯量が少ないと、冷たいもつを入れた瞬間に湯温が下がり、脂がじわじわと溶け出す危険な温度帯(50〜70℃)に長く留まることになります。たっぷりの熱湯にもつを一気に投入し、表面のタンパク質を数十秒で瞬間凝固させるのがプロの技です。
さらに重要なのが、本調理時の投入タイミングです。キャベツやニラ、スープをセットした鍋がグツグツとしっかりと沸き立ってから、もつを最後に投入します。弱火でコトコト煮込むのではなく、中火以上の対流の中で短時間(3〜5分程度)で火を通すことで、脂がスープに溶け落ちることなく、外側はプリッと弾力を保ち、内側はとろけるような甘みをたたえた極上の仕上がりを実現できます。