プラダー・ウィリー症候群の臨床的特徴は、年齢ステージによって症状の現れ方が劇的に変化する点にあります。医療関係者や保護者が初期段階で見分けるための重要な指標が存在します。
新生児期〜乳児期:筋緊張低下と哺乳障害
出生直後から見られる最も顕著なサインが、新生児 筋緊張低下(いわゆる「フロッピーインファント」状態)です。抱き上げた際に体がぐにゃりと柔らかく、手足の自発運動が乏しい、泣き声が非常に弱いといった状態が続きます。また、吸啜反射(母乳やミルクを吸う力)が著しく弱いため重度の哺乳障害に陥り、経管栄養チューブによる栄養管理を余儀なくされるケースが大半を占めます。
幼児期以降:食欲亢進への転換と発達の遅れ
2〜4歳頃を迎えると、乳児期の食欲不振から一転し、持続的な食欲亢進と過食行動が出現します。これに伴い、適切な食事制限を行わない場合は急激な体重増加と重度肥満が進行します。運動面や言語面での発達遅滞も顕在化し、歩行開始の遅れ(平均2歳前後)や発語の遅れが見られるようになります。知的能力は境界知能から軽度・中等度知的障害の範囲に収まることが多いものの、パズルや特定の作業に対して驚異的な集中力を発揮するケースも知られています。
身体的・顔つきの特徴
PWSの当事者には、特有の身体的特徴と顔つき 特徴が見られます。これらは成長とともに徐々に判別しやすくなります。
- 頭部・顔貌:狭い前頭部(額の幅が狭い)、アーモンド形の目、薄い上唇、下がり気味の口角。
- 末端部:手足が比較的小さい(小手足症)、指が細く先細りしている。
- 皮膚・毛髪:色素脱失(家族に比べて皮膚の色が白く、髪や瞳の色が茶色がかっていることが多い)。
- 骨格系:低身長、筋力低下、脊柱側弯症の高頻度な合併。