1980年代後半、日本経済は空前の土地・株式高騰の渦中にあった。銀行の過剰融資が都市部の地価を押し上げる裏側で、権利関係が複雑化した不動産の整理や立ち退き工作には、常に不透明な資本が影を潜めていた。そこに存在したのは、単なる暴力による脅迫ではない。
精緻に計算された金融スキームと法律の隙間を突く「企業舎弟」の暗躍である。莫大な資金が株式市場へと流入し、特定の銘柄が急高騰する現象が相次いだ。証券会社のトップが裏組織の幹部と接触していた事実が後に発覚した際、日本社会が受けた衝撃は計り知れない。表の金融市場と裏の資金源が明確な境目を持たずに融合していた時代。その背後には、莫大な流動資産の配分とコントロールを巡る綿密な駆け引きが絶えず存在していたのである。