アイスの実の歩みは、冷菓業界における技術革新とプロモーション史そのものです。開発当初、まん丸なアイスを量産することは技術的に極めて困難とされていました。液体を凍らせる際に球体を保ち、なおかつ均一な口どけを実現するため、江崎グリコの技術陣は試行錯誤を重ね、特許技術となる独自の成型・凍結プロセスを確立させました。
ブランドの歴史を語る上で欠かせないのが、2011年に日本中を騒然とさせた「江口愛実(えぐちあいみ)」をめぐる一大キャンペーンです。当時社会現象を巻き起こしていた人気アイドルグループ・AKB48の大型新人として突如登場した彼女は、実は主要メンバーの目、鼻、口、髪型などのパーツを高精細CGで合成して生み出された架空のキャラクターでした。
テレビCMやスポーツ紙の報道を巻き込み、「本当に実在するのか」とネット上で激しい議論が巻き起こったこのプロモーションは、デジタル黎明期におけるメディアジャックの金字塔として現在も広告史に記録されています。「アイスの実 江口愛実 真相」として明かされた際の鮮やかなインパクトは、ブランドの知名度を飛躍的に向上させ、若年層から大人世代へと顧客層を一気に拡大させる契機となりました。