本作を語る上で欠かせないのが、若手実力派キャストによる鬼気迫る演技合戦だ。ヒロインの千代役を務めた杉咲花は、完璧な大阪弁と感情豊かな表情変化で、喜劇女優の光と影を全身全霊で表現した。
特に後半で見せた、裏切りと孤独に耐えながら舞台に立つシーンの気迫は、テレビドラマ業界全体に大きな衝撃を与えた。また、千代の夫であり喜劇界のカリスマ・天海一平を演じた成田凌の存在感も圧倒的だった。
ふたりがぶつかり合うシーンでは、台本を超えた本物の感情が迸り、観客の涙を誘った。破滅的な美しさと滑稽さが同居する独特のペアリングは、劇中歌や美術の色彩感覚と相まって、本作に忘れがたい余韻を残している。