教科書や観光写真のイメージから、モアイ像を「地面から首だけが生えている石像」だと思っている人は少なくありません。しかし、2010年代以降に進められた「イースター島彫刻プロジェクト(EISP)」の大規模な発掘調査により、地中に巨大な胴体が埋もれていた事実が広く知られるようになりました。
現在島内で確認されている約1,000体のモアイ像のうち、製造拠点であった火山「ラノ・ララク」の斜面に立つ像などは、数百年にわたる土砂崩れや堆積作用によって胸から下が完全に埋没していました。発掘された胴体部分の保存状態は極めて良好で、風化を免れた背中や腰回りには、三日月型の船(カヌー)や「鳥人儀礼」を連想させる幾何学的なペトログリフ(岩石彫刻)が鮮明に刻まれていました。
モアイ像の平均的なサイズは高さ約4メートル、重さ約12トンに達します。中には完成像として最大級の「パロ」(高さ約9.8メートル、重さ約80トン)や、採石場に未完成のまま横たわる「エル・ヒガンテ」(高さ約21.6メートル、推定重量160トン超)といった規格外の巨石も存在します。地中に隠された全身像の全貌が露わになったことで、当時のラパ・ヌイ人たちが注いだ桁外れのエネルギーと彫刻技術の高さがあらためて証明されました。