彼女の人生を解読する上で、夫である三浦朱門の存在は極めて大きい。お互いを独立した個として尊重し合いながら、文学的にも人間的にも刺激を与え続けた二人の関係は、当時の文化人カップルの理想像としてもしばしば注目を集めた。家庭内での会話や議論が、互いの執筆活動における思索をさらに深化させたことは間違いない。
また、彼女の活動は書斎の中だけに留まらなかった。日本財団の会長職を務めた時期には、公的資金の活用や社会貢献事業のあり方において、旧来の官僚的な発想を打破する果断な決断を連発した。アフリカの過酷な環境下で支援活動を展開する民間団体の現場に自ら足を運び、汗を流した体験。それらの知見が、社会批評エッセイに圧倒的な説得力を与えていたのは自明の理である。