映画『男はつらいよ』の初期シリーズにおいて、渥美清演じる車寅次郎の舎弟・登(のぼる)役を演じていた姿を記憶しているファンも多いはずだ。
テキヤの修行に励みながらも、どこか憎めない愛嬌を振りまく青年・登。寅さんとのコミカルな掛け合いで見せるテンポの良さは、作品に絶妙なリズムを与えていた。若い頃の彼は、シリアスな青春群像劇だけでなく、こうした喜劇の場でも抜群のコメディセンスを発揮していたのである。
スクリーン狭しと動き回る若々しいエネルギーと、ふと見せる少年のような無垢な表情。名監督・山田洋次のもとで発揮されたその鋭い感性は、今見返しても一切の古さを感じさせない。