この曲が生まれた1968年後半、ザ・ビートルズはまさに崩壊の淵に立たされていました。マネージャーだったブライアン・エプスタインの急死以降、メンバー間のビジネス面での主導権争いや音楽性の不一致、スタジオ内の人間関係は最悪の状態に達していました。
バンドを存続させようと一人奔走していたポールは、神経をすり減らし、不眠と過度のストレスに苛まれる日々を送っていました。そんなある夜、疲れ果てて眠りに落ちたポールの夢の中に、亡き母メアリーが現れたのです。
生前の穏やかな笑顔を浮かべた母は、苦悩する息子に対し、優しくこう語りかけました。
「大丈夫よ、ポール。すべてをあるがままに任せなさい(It’s going to be OK. Just let it be)」
目が覚めた瞬間、ポールは言いようのない安らぎと甘美な感覚に包まれ、ベッドサイドのピアノへ向かい、母の残した言葉をそのまま曲へと昇華させました。バラバラになっていく仲間たちを繋ぎ止めることができず、自責と孤独に押しつぶされそうだったポールにとって、この言葉は暗闇に差し込んだ唯一の救いの光だったのです。