日本人が漢字に対して「可愛い」と感じる背景には、文字の造形美だけでなく音の響き(母音の抜けや濁音の少なさ)が深く関係している。文化庁が管轄する常用漢字や人名用漢字の規格内には、実に約3,000字近くの選択肢が存在するが、その中で好まれる漢字には明確な法則がある。
例えば「咲」や「花」のように、自然や植物を連想させる文字は、視覚的に左右対称に近い安定感を持つのに加え、声に出したときの残響が心地よい。人名用漢字の範囲が拡張されて以降、漢字が持つ本来の硬質な意図から離れ、純粋にフォントとしての美しさや「響きの可愛らしさ」を重視して選ぶ視点が完全に定着した。