ネット上の情報や一部の裏技動画では「揚げた野菜を熱湯にサッとくぐらせて油抜きをするとヘルシーでさっぱりする」と紹介されるケースがあります。しかし、料理の現場や調理科学の視点から見ると、これは大きな落とし穴を孕んでいます。
素揚げした野菜に熱湯をかけると、野菜の表面にある旨味成分や脂溶性ビタミンが湯とともに流れ出てしまいます。さらに深刻なのは、細胞の表面に水分が膜を張ることで、タレの浸透圧が狂い、味が極端に水っぽくぼやけてしまうという点です。油っぽさを落とそうとした結果、料理本来のコクと旨味を台無しにしてしまう本末転倒な事態に陥ります。
油っぽさを軽減したいのであれば、熱湯をかけるのではなく、揚げバットの上で30秒間しっかりと油を切るだけで十分です。バットに立てかけるように並べ、余分な油が重力で落ちた直後に、調味料と出汁を合わせたタレへ移すのがベストです。脂質の過剰摂取を恐れて味を損なうよりも、適温調理による油切れの良さを追求する方が、結果として遥かに完成度の高い一皿に仕上がります。