田原町を語る上で決して外せないのが、創業1942年の老舗パン屋「パンのペリカン」だ。メニューを食パンとロールパンという究極のシンプルさに絞り込み、何十年も変わらぬ製法で丁寧につくられるパンは、いまや全国にその名を知られている。
毎朝、焼きたての香ばしい香りが漂う店舗の前には、予約客や買い求める人々が絶えない。もちもちとした食感と、噛むほどに広がる小麦本来の素朴な甘み。その味は近隣の喫茶店でもトーストとして提供され、地域全体の食文化を支える太い骨格となっている。洗練された現代のブームとは一線を画す、下町ならではの職人魂がここにある。