稲毛がもっとも激しく脈打つのは、毎年7月14日の前夜祭と15日の例大祭だ。京成稲毛駅から神社へと続く急な坂道、そして参道周辺に数百軒の露店がびっしりと立ち並ぶ光景は、千葉の夏の風物詩として知られる。
圧巻は、華やかな装束に身を包んだ幼子たちが歩く「稚児行列」である。無病息災と健やかな成長を願う親たちの祈りが、初夏の熱気とともに通りを満たす。近隣の学校は早帰りになり、浴衣姿の若者たちが路地を埋め尽くす。古くからの住民も、新興マンション群に移り住んできた新住民も、この二日間ばかりは同じ熱気の中に溶け合う。
「子どもの頃に買ってもらった水風船の感触を、今度は自分の子どもに伝えている」。露店の列に並んでいた地元出身の30代男性は笑った。祭りは単なる年中行事ではない。土地と人、世代と世代を結び直す強烈な接着剤として機能している。