2009年8月、山城新伍さんが糖尿病の悪化や認知症を患い、特別養護老人ホームで70歳の生涯を閉じた際、ワイドショーは過熱報道を繰り広げました。「元妻と娘が面会に来なかった」「家族から見捨てられて孤独死した」といった論調が一人歩きし、鹿沼絵里さんと娘の都さんに対して激しい批判が集中したのです。
しかし、後年に明かされた実情は、外野が無責任に断罪できるような単純なものではありませんでした。離婚に至る過程で山城さん側から家族に対する激しい拒絶や一方的な絶縁宣言があったこと、さらには長年蓄積した家庭内のトラウマから、精神的に直接顔を合わせることが極めて困難な心理状態に追い込まれていたという背景がありました。
介護や看取りを放棄したのではなく、「関わりたくても関われない断絶」を長年かけて作り出した原因がどこにあったのか。感情論だけで片付けられた報道の陰には、被害者でありながら悪者に仕立て上げられた母娘の耐え難い苦渋と悲痛な叫びが隠されていました。