この悲劇の背景として最もクローズアップされたのが、『セクシー田中さん』の日本テレビによるテレビドラマ化を巡る「原作改変」問題である。芦原氏はドラマ化にあたり、「必ず原作に忠実であること」「未完である作品の終盤は原作者が用意したあらすじ・セリフ通りに制作すること」条件として小学館を通じて提示していた。
しかし、実際の制作現場では原作の意図やキャラクター設定を大きく改変する脚本が相次いで提出された。芦原氏は度重なる修正要請を行うも聞き入れられず、最終的に第9話・第10話の脚本を自ら執筆せざるを得ない事態に追い込まれた。放送終了後、SNS上で経緯を明かしたものの、誹謗中傷や激しい議論に晒され、投稿を削除して「攻撃したかったわけではありません。ごめんなさい」との言葉を残したまま消息を絶った。
事件後、小学館と日本テレビはそれぞれ内部調査委員会を立ち上げ、検証報告書を公表した。報告書では、出版社とテレビ局の間の意思疎通の欠如、プロデューサー陣の認識不足、契約書が交わされないまま撮影が進行する業界の慣習など、根深い構造的問題が詳細に明かされた。