初めて訪れる参拝者が抱きやすい疑問のひとつが、「露天神社」と「お初天神」というふたつの呼び名の関係性です。結論から述べると、これらはまったく同じ神社を指しています。宗教法人としての正式名称が露天神社であり、地域住民や観光客から親しまれている愛称がお初天神です。
露天神社の歴史は極めて古く、創建は西暦700年代初頭(奈良時代以前)にまで遡ります。古代の難波八十島祭(なにわのやそしままつり)の祭場跡と伝えられ、実に1300年以上の由緒を誇る由緒正しき古社です。主祭神として少彦名命(すくなひこなのみこと)や大己貴命(おおなむちのみこと・大国主命)、天照皇大神、豊受姫大神、そして菅原道真公を祀っています。
「露天神社」という社号の由来には、平安時代の貴族・菅原道真公にまつわる逸話が残されています。延喜元年(901年)、道真公が無実の罪で太宰府へ左遷される途上、この地に立ち寄って詠んだ和歌が起源とされています。
「露と散る 涙に袖は朽ちにけり 都のことを思ひ出づれば」
都を追われる自身の境遇を偲び、袖を涙で濡らした道真公の心情から「露天神社」と名付けられたと社伝に記されています。千年以上の長きにわたり地域の守護神として信仰されてきたこの社が、のちに「お初天神」と呼ばれるようになった背景には、江戸・元禄期に起きたひとつの大事件がありました。