青井岳駅が位置する日豊本線・山之口~田野間は、鰐塚山地をぶち抜く急勾配と険しい地形が続く鉄道建設の超難所であった。大正時代から昭和初期にかけて、当時の土木技術の粋を集めて切り拓かれたこの区間には、今なお数々のトンネルや橋梁が残されている。
中でも青井岳駅の近くに位置する楠原トンネルは、厳しい山岳地帯に鉄路を通すための凄まじい苦闘の歴史を物語るシンボル的構造物だ。SL時代、重連の蒸気機関車が激しい煙を吐き出しながらこの急勾配のトンネルに挑んだ光景は、鉄道史における語り草となっている。トンネルを抜けた先に広がる青井岳の風景には、先人たちの血と汗が滲む歴史の重みが宿っている。