藤井隆太社長の生い立ちは、一般的な企業家とは一線を画している。幼少期から音楽の素養を育み、名門・桐朋学園大学音楽学部でフルートを専攻。卒業後はフランス・パリへと渡り、本格的なクラシック音楽の修業を積んだ。まさに将来を嘱望されるプロのフルート奏者として、音楽に人生を捧げる覚悟を固めていた人物だ。
しかし、創業数百年を誇る株式会社龍角散の家系に生まれた宿命が、彼の歩むルートを大きく変える。30代半ばで実家に戻った彼を待ち受けていたのは、時代の変化に取り残され、巨額の負債を抱えた瀕死の会社だった。音楽家としての華々しいキャリアを一区切りさせ、彼は未経験のビジネス界というアウェイの舞台へ足を踏み入れることとなった。