「本当にそんな駅が存在するのではないか」――作品の特報映像が公開された直後、ネット上では困惑と興奮が入り交じった声が相次いだ。結論から言えば、鷲谷駅という駅は実在しない。だが、そのリアルすぎる描写の背景には、入念に計算されたロケーション選定と高度な美術セットの融合が存在する。
物語のロケ地としてメインのロケ撮影が行われたのは、千葉県柏市の北部に位置する旧軍用施設跡地や未開発エリアだ。地名として「鷲谷」の文字が刻まれた歴史的背景を持つこの土地に、広大な駅前ロータリーと改札口のオープンセットが建設された。さらに、作中での鉄道走行シーンやホームのリアルな質感を再現するため、JR東日本の全面協力のもと、廃線となった旧営業線や夜間の留置線を使用した撮影が敢行されたという。リアリティを極限まで追求したロケ地選定こそが、架空の駅に命を吹き込んだのだ。