二川の街を歩けば、時の流れが急に緩やかになったような錯覚を覚える。街道沿いに残る古い家屋や本陣跡は、江戸時代に旅人が行き交った往時を色濃く物語る。江戸後期の浮世絵師・歌川広重が「東海道五十三次」の中で描いた二川宿の風景は、風情あふれる柏餅の売店や素朴な宿場の佇まいで知られるが、その空気感は現代の街並みにも確かに息づいている。
この歴史的遺産を現代に伝える象徴が「豊橋市二川宿本陣資料館」である。全国的にも珍しい本陣・脇本陣・旅籠の3つの遺構が現存または復元されている展示施設であり、当時の参勤交代の様子や庶民の旅の日常を体感できる。館内に一歩足を踏み入れれば、古文書や道具類が当時のリアルな暮らしを雄弁に語りかけてくる。