ぶりぶりざえもんを語る上で避けて通れないのが、声優交代にまつわる感動的な舞台裏です。キャラクターの唯一無二の気品と滑稽さを生み出したのは、名優・塩沢兼人氏でした。しかし2000年5月、塩沢氏が不慮の事故により46歳の若さで急逝。制作現場とファンは深い悲しみに包まれました。
特筆すべきは、テレビ朝日の制作陣と原作者・臼井儀人氏の下した決断です。安易な代役立てを行わず、「塩沢さん以外の声は考えられない」として、約16年間にわたりぶりぶりざえもんを“声を出さないキャラクター(無言・筆談)”として登場させ続けたのです。アニメ業界において、主要キャラクターが16年間も声なしで維持された例は極めて異例であり、現場の敬意の深さを物語っています。
そして2016年5月、満を持して2代目声優に抜擢されたのが神谷浩史氏でした。当時、神谷氏は「偉大すぎる塩沢さんの残したイメージを汚すわけにはいかない」と計り知れない重圧を吐露しながらも、塩沢氏への最大限のリスペクトを込めた演技を披露。気品ある美声と軽妙なクズさの調和を見事に再現し、古参ファンからも「違和感がない」「塩沢さんの魂が息づいている」と絶賛を浴びました。