京都府宇治市の風土が生み出す抹茶には、他では決して真似のできない深みがある。茶園を黒い覆いで遮光し、日光を遮る「覆下栽培(おおいしたさいばい)」は、茶葉に鮮やかな深緑と豊かなテアニンをもたらす。堀井七曜園では、伝統的な「本ず覆い」と呼ばれる藁を用いた手法を今も大切に守り続けている。手間を惜しまぬ作業の連続こそが、本物の味わいを生む土台なのだ。
収穫された茶葉は、低速で回転する石臼で丹念に挽き上げられる。わずか一時間に数十グラムしか取れない贅沢な時間。摩擦熱を最小限に抑えながら時間をかけて挽くことで、茶葉本来のフレッシュな香りと濃密なコクが閉じ込められる。日本茶・抹茶製造業の現場において、効率とは対極にあるこの極小の生産スピードこそが、至高のクオリティを保証する唯一の道なのだ。