銀幕の世界においても、彼は唯一無二の異彩を放った。主演を務めた時代劇映画『忍びの国』では、普段は無気力でありながら「伊賀一の忍び」と恐れられる主人公・無門を熱演。身体能力の高さを遺憾なく発揮した変幻自在のアクションシーンは、多くの観客の度肝を抜いた。
本格的な殺陣の動きに自身の抜群のダンスセンスを融合させ、軽やかかつ劇的に刀を振るう姿は、大野智という稀代の表現者にしか演じ得ない領域であった。コミカルな軽妙さと、大切な者のために命を懸ける凄みのコントラスト。日本映画界に刻まれたその勇姿は、役者としての彼の到達点を示している。