なぜ、ただかき混ぜるだけでサラサラのスープがドロドロの濃厚カレーに変貌するのか。その秘密は食品科学のメカニズムにある。
日清カレーメシに使用されている米は、急速乾燥技術によって米のでんぷん構造を保持したアルファ化米である。このアルファ化米に熱湯調理を施すことで、米の細胞内部に一気にお湯が浸透し、でんぷん糊化(粘り気が出る現象)が急速に進行する。
しかし、お湯を注いで放置しただけでは、糊化したでんぷんとカレールーの粘性成分が器の底に停滞したままだ。ここにスプーンによる機械的なせん断力(かき混ぜる摩擦)が加わることで、米から溶け出したでんぷん質とルーの油脂・スパイスが乳化・分散し、理想的なトロミネットワークが形成される。つまり、「水っぽい」と感じる原因の9割は、この科学変化を完成させるための「混ぜ」が足りていないことに尽きるのだ。