千住明の類まれな構築力は、その生い立ちと厳格なアカデミズムに裏打ちされている。名門・東京藝術大学および同大学院で作曲を学び、南弘明や黛敏郎といった巨匠たちの薫陶を受けた。緻密な対位法と伝統的なクラシック音楽の語法を徹底的に叩き込まれた経験こそが、千住の書くメロディに揺るぎない気品と強度を与えている。
芸術一家としても名高い千住家において、世界的ヴァイオリニストである妹・千住真理子との音楽的対話も欠かせない要素だ。兄が紡ぐ繊細かつ大胆な旋律を、妹の名器ストラディヴァリウス「デュランティ」が鮮やかに歌い上げる協演は、幾度となく聴衆の心を震わせてきた。血筋と切磋琢磨が生み出す独自のハーモニーは、クラシック界においても唯一無二の輝きを放っている。