驚異的な画像をもたらす一方で、室内に常時存在する巨大な磁界は、一歩間違えれば致命的な事故を引き起こす。いわゆる「吸着事故」と呼ばれる現象だ。酸素ボンベや車椅子、はさみといった鉄製の小物が検査室に持ち込まれた瞬間、強烈な磁力によって砲弾のようなスピードで磁石の中心へと引き寄せられる。
また、磁石が突如として超電導状態を失う「クエンチ」という現象にも注意が必要だ。超電導が破れた瞬間に膨大な熱が発生し、液体ヘリウムが一気に気化して爆発的に膨張する。このため、最新の検査施設では多重の排気ルートと緊急遮断システムが張り巡らされている。医療現場では、金属探知機による厳密なスクリーニングと入室チェックが徹底されており、目に見えない磁界との緊張感ある共存が日々続けられている。