二人の関係性を語る上で、1990年代の結婚と離婚の歴史を避けて通ることはできない。しかし、彼らの関係は世俗的な「元夫婦」という枠組みを遥かに超越している。離婚後も、野田の演出する舞台において、大竹は常に特別なポジションにあり続けた。
「野田さんの頭の中を一番理解しているのは、私かもしれない」。かつて大竹がそう語ったように、二人の間には言葉を超えた暗黙の了解が存在する。稽古場で繰り広げられる妥協なきディスカッションは、時に周囲のスタッフが息をのむほどの緊張感に満ちているという。それは、互いの才能に対する絶対的な敬意があるからこそ成立する、究極の信頼関係だ。