この小径が「哲学の道」と呼ばれるようになった所以は、日本を代表する哲学者・西田幾多郎が日課としてここを思索しながら歩いたことに由来する。彼が残した「人は人 我はわれ也 とにかくに 我行く道を 我は行くなり」という歌碑は、今も静かにたたずみ、訪れる者に自己との対話を促している。
また、文豪・谷崎潤一郎もこの周辺の静謐さを深く愛したひとりだ。文人たちが愛した風景は、単なる観光地を超えた文化的景観として受け継がれている。哲学の道の石畳を歩くことは、かつての知性たちが紡いだ思考の軌跡を追体験する贅沢な巡礼にほかならない。