七味家本舗の起源は、江戸時代の初期である明暦年間(1655年)にまで遡ります。初代が清水寺の参道(現在の産寧坂角)に「河道屋」という茶店を開いたことがすべての始まりでした。当時、音羽山を登り清水寺へ参詣する旅人たちは、険しい坂道で冷え切った身体を休める場所を求めていました。そこで初代が振る舞ったのが、白湯に唐辛子の粉を少量入れた「からし湯(唐辛子湯)」でした。
このからし湯が「身体の芯から温まる」と参詣者の間で評判を呼び、街道を行き交う旅人たちの口コミによって広く知れ渡ることになります。その後、漢方医学や生薬の知恵を取り入れ、唐辛子だけでなく香辛料や薬味を調合した風味豊かな「七味唐辛子」を考案。屋号を「七味家」へと改め、現在の調味料専門店としての地位を確立しました。
店舗が位置する産寧坂(三年坂)は、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定された京都屈指の景観美を誇るエリアです。現在も当時の面影を色濃く残す木造建築の本店では、手作業による昔ながらの調合技術と厳格な品質管理が受け継がれています。