地主神社の現在の社殿群は、徳川三代将軍・徳川家光が1633年(寛永10年)に再建した歴史的建造物だ。本殿、拝殿、総門、さらには境内全域が国の重要文化財に指定されており、ユネスコ世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成資産の一部としても極めて高い価値を有している。
前回の本格的な解体修理から約300年近くが経過しており、長年の風雨による木部の腐食や屋根の劣化、地震対策の必要性が長らく課題となっていた。今回の工事は、単なる表面的な美観の回復にとどまらず、建物の骨組み補強から基礎の調査まで踏み込んだ約3世紀ぶりの抜本的保存大改修である。
狭小な敷地に歴史的建造物が密集している境内構造上、参拝客の安全を確保しながら工事を進めることは困難を極める。文化財を未来へ確実に引き継ぐための決断として、境内全域の立ち入りを遮断する全面閉鎖という措置が取られた。