インターネット上の掲示板やSNSでは、訓練士志望者に対して「過酷すぎるからやめておけ」というアドバイスが目立ちます。業界関係者への取材や退職者の手記を分析すると、その背景には伝統的な徒弟制度に根ざした3つの過酷な現実が浮き彫りになります。
1点目は拘束時間の長さと早朝からの重労働です。犬の排泄管理や犬舎の清掃、給餌は毎朝5時〜6時台から始まります。夏場は気温が上がる前の早朝と日没後に集中的な運動・トレーニングを行うため、実質的な拘束時間は半日以上に及ぶケースが珍しくありません。
2点目は住み込み見習い期間の待遇です。多くの伝統的な訓練所では「衣食住を提供する代わりに給与は小遣い程度(月額5万〜10万円前後)」という住み込み修行スタイルが長く残っていました。労働環境の健全化が進む現在でも、初任給は手取り12万〜16万円前後にとどまる事業所が多く、一人暮らしを維持することすら困難で離職する若者が後を絶ちません。
3点目は精神的・肉体的なプレッシャーです。シェパードやドーベルマン、ラブラドール・レトリバーといった大型犬を相手にするため、噛みつき事故や引きずられによる打撲・骨折のリスクは日常茶飯事です。さらに、嘱託出動では深夜の山岳遭難や行方不明者の捜索現場に駆り出され、人の命を背負う重圧と向き合うことになります。