中央省庁の地方移転という国家的施策の目玉として進められたのが、国立工芸館石川移転プロジェクトだった。文化庁を始めとする関係機関と地方自治体がタッグを組み、日本の文化政策における歴史的なターニングポイントを作り上げた。東京の一極集中を排し、加賀百万石の歴史と伝統技法が息づく金沢へと舞台を移した意義はあまりにも大きい。
運営を担う独立行政法人国立美術館にとっても、この移転は単なる場所の変更にとどまらない挑戦だった。文化施設が集積する「兼六園周辺文化の森構想」の中核として位置づけられたことで、近隣の博物館や庭園と相互に響き合う広域的なアートエリアが誕生。金沢の街全体が大きな博物館であるかのような一体感が生まれた。